山根成之監督『愛と誠』(1974年)
原作:梶原一騎、作画:ながやす巧。(『週刊少年マガジン』(講談社)1973- 76年連載.
梶原一騎のスポコン世界観や1970年代がどんな感じかを知るために視聴。
正直、演技の古臭さがどうしてもひっかかるが、これもまた一つの文化ということで面白く、学べた。
- 「女は弱いから守った」という不器用な男、太賀誠
- 誠の傷の原因を作った罪を償うために、献身的に誠を追い続ける早乙女愛
この二人のあまのじゃくな関係の物語で1970年代の日本の雰囲気も伝わってきます。(私が1983年生まれなので、生まれる10年前頃、父母が結婚する頃の雰囲気か)
強い男とかよわい女、の構図が強く表れてます。
貧乏ではあるが、武骨で我が道を行く誠の背中をひっそりと想う愛の姿。
2023年現在でそのまま放映するのは、放送コードに引っかかりそうなくらい、女を下に見る様子も出てきます。
その美器用さがまた主人公誠の武骨さや非欧米的なロマンスを見せてます。
高校生が喫茶店でアルバイトをするのはもちろんダメ、いくのもダメという空気感。
現在のマックでたむろして、放課後にバイトしている高校生とは次元が違うでしょう。
財閥で裕福な家庭なのはもちろんであるが、愛の父の存在感や威厳は伝わります。
また母が夫の前に出ないでいる感じも。
ラグビー、ボクシング、ありあまるエネルギーをスポーツに置き換えるのは昔も今も変わっていないかと。
梶原一騎のスポコンはやはり捨てられないのでしょう。
スポコンが描けないので、スポーツで発散できないエネルギーは暴力へ発展します。
ただ、この暴力をあえて生々しく描いているのも70年代当時の人間臭さともいえます。
特典映像の「特報」で愛役の募集で4万人も集まったことも驚きだが、その募集方法は「詳しくは劇場のポスターで!」。
現在のスマホのフォームからは気がるかもしれないが、実際に足を運んで、映画館に足を運び、その雰囲気や空気を感じてから応募するステップを踏ませる。
ヒロインで選ばれたのは、決して派手でない、おとなしそうな女性。
時代が求めていたのはこのような女性だったのか、と思うと感(次作でこれまたくつがえるのですが)
この遠回りは、何でもかんでも省略化、オンライン化、コスパ思考の現在に、あえて必要な時間ではないかと。
これが大ヒットし、早速続編が作られると、これもまたみてみようと。
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