TOEICなんかいらない
英語を頑張っている人には驚きの一言かもしれません。
大学英語教員こんなこと言う人、いないと思います。
ここでも書いたのですが、「英語が不要」は幸せなんです。
英語が使えないと仕事ができない。生活もできない。
そんな植民地のようなところで生活して幸せになれますか?
あえて「英語は不要」を前提でTOEICを考えます。
TOEICは価値は限定的です。
TOEICを過信、妄信してはいけません。
英語教育界には「TOEIC至上主義者」がいます。
TOEICに1万円以上はお金をかけ過ぎです。TOEICとお金について詳しくはこちらを
ただ、何か山登りや、修行・鍛錬のように頑張りたくなりますよね。
頑張ればスコアに反映される。はまりやすいですよね。
気持ちはとても分かります。私もそうでした。ですが・・・
日本で普通に生活をする人にTOEIC受験はいりません。
なのに何でTOEICやるんでしょうか?
受験料6490円(2021年10月3日~第278回より7810円)の意味はあるのでしょうか?
- 会社の昇進
- 大学の卒業要件
- 短期研修の申し込み
- 力試し
- 誰かに「やれ」と言われた
このようなのっぴきならぬ(?)理由かもしれません。
ただ、TOEICは企業・人事・教員にとって「足切り材料」です。
とても都合がよいです。
人事や教員側からすると、TOEICは足切り材料でしかない。「履歴書に600で~」「400以上留学申込可能」。500、600、700点取っても何の意味もなかった。900点は前職の申し込み要件だったから取った意味があった。「~点を~までに取る」という明確な目的がなければTOEICのカモ。金の無駄。
— ちー | 洋楽100曲投稿チャレンジ中 (@chiharu_samurai) June 13, 2020
こちらでも言いましたが、残念ながら頑張って取ったスコアは、特定の場合を除きあまり意味を成しません。
私は今まで
- 大学教育現場
- 留学派遣の募集・合否
- 大学教員人事
など携わってきました。自身でも今までTOEICを4回受けたことがあります。
実際に取ったスコアを思い返しながら、TOEICの
- 表向きの建前
- 本音(誰にも忖度ない本音。厳しいこと言います。)
以上を紹介します。
400点未満
建前:初心者だけど頑張れ!これからだ!
たぶんこんな感じで「次はもっと頑張ろう」とか言われてレベルアップを促されるかもしれません。
ただ実際は
本音:受験する意味なし。発音・単語・文法勉強して出直せ。
意味ありません。2週間ほどの短期研修プログラムの応募書類に
「450点取得しておくことが望ましい」
くらいに記載があることがあります。つまり
「海外経験するくらいだったら一応受けておけば」
このくらいの意味しかありません。
あとは教室での英語、受験英語しかやったことない人へ
- 現場の英語の速さ
- 短時間で量をこなす感覚
以上の現実を知らしめる意味はあるかもしれません。ただ
特段必要なければこのくらいのレベルで受けてはいけません。お金の無駄です。
大学入学時の英語クラス分けにTOEICを検討されている先生方。
大切な学科(学部? 全学?)予算の無駄です。
現実、7~8割の学生はこれくらいです。
リーディングの中盤からあきらめて寝る学生が出てきます。
遅刻・無断欠席も普通です。
違うところにお金を使ってあげて下さい。
英語の練習についての考え方については
こちらをご覧ください。
500点
↑私が大学3年生(2004年)に525点を取った時のスコアシートです。
懐かしいです。
この時の自分を振り返ると…
建前:初級からは抜け出している!もう少しで中級!あきらめるな!
確かに大学入学時のクラス分けでこれくらいとれると
「おっ。レベル高いな」
と思われます。期待感はあります。
ただ・・・
本音:まだ受けても意味ない。まだまだ発音・単語・文法、全然なってない。就活の面接でナメられる。
わざわざ受験するレベルではありません。
あくまで「大学入学時のクラス分け」ではまぁまぁ良い、くらいです。
私も大学生の時初めての受験はこの500点台でした。
このスコアを持っていて何のメリットもありませんでした。
就活時に面接で
「525点を持っているようですが今後また受けることは考えていますか」
と聞かれたことがあります。
面接時のネタにはなります。
今の私がその時の面接官だったら
「TOEIC 525 を履歴書に書くな」
と思います。
600点
↑大学院修士課程(2008年) 600点取った時のスコア。
これも懐かしい…。この時を今振り返ると、
建前:お!履歴書に書ける!よくやった!
このスコアの意味は少しあります。
大学4年の就活時です。
一応履歴書の一行は埋めることはできます。
(※600未満は書かないでください!恥ずかしいです。)
一応平均より少し上なので
「ちょっと英語ができそう」
と思われます。ただそれだけです。
本音:履歴書に書けても600程度じゃ現場で英語使えるわけない。出直して来い。
正直、600では英語使えるレベルではありません。書店で売ってる
「~日でできる〇〇!」
「~解法テクニック〇〇!」
などでひたすらやりかたに慣れれば、600まではいけます。
しかし、テクニックのみでは600前後で壁にぶち当たります。
私がそうでした。
おそらくリスニング・リーディングの後半が半分ほどできていません。
そして今後もできません。
ある程度の知識・テクニックはありますが、まだまだです。
「仕事でつかえる」レベルには全然です。ただ、
- 大学3年(短大1年)の冬までに(新卒の場合)
- 4230円「団体受験」1回で600点を取る
以上の条件であれば、意味はあります。
わざわざ公開TOEICで移動と受験で一日を潰してお金を払う価値は「?」です。
そして、たかが600点のために「何回も」受けてはいけません。
私は2回目でこの600点台でした。
持っていて何の意味もありませんでした。
最低600は取る!
これについては
こちらの動画が詳しいです。
おそらく日本ではTOEIC研究トップの先生が解説しています。
厳しいかもしれませんが、英語のプロから言わせるとTOEIC 600点未満はあまり意味ありません。
TOEIC600点の正直な印象は
「英語初心者から抜け出してはいるけどまだまだこれから」
という感じです。
考え方を変えてみます。
大学4年の就活時に700~800持っていると、選択肢が広がります。
就職後の仕事の幅もあります。
700点
大学院博士課程(2010年) 755点取った時のスコアです。
スコアって、取っておくもんですね。懐かしいです。
この時の印象は…
建前:凄い!どうやったらそのレベル行けるの!?教えて!
ここまでくるとかなり頑張っている人です。
あるいは3か月~半年の留学(大学学部でなく語学学校)経験者レベルです。
大学生でこの点数取ると教員や国際交流のスタッフが
「経験談教えてください」
などメールをよこすでしょう。
大学ではちやほやされます。しかし
本音:このくらいだったらゴロゴロいる。英語専門とはいえない中級レベル。
正直まだ英語を現場で使えません。
リスニングとリーディングの後半が2~3割はできていません。
つまりまだ使いこなせていません。
TOEIC対策のみをやっていた人は、このあたりで伸び悩むでしょう。
たぶん解き方のテクニックや対策のみではここらへんが限界です。
私がそうでした…。
TOEIC対策だけでなく、基礎の部分はどうでしょう。
こちらで紹介したような英語の根本的な知識・文法・用法はマスターできているでしょうか。
↑を既にやっている、なかなか伸びない、という人は、根本的な英語練習を怠っているかもしれません。こちらも練習に入れてください:
私は3回目で700点台を取りましたが、持っていて意味はありませんでした。
「今は無理だけど、近いうちにこの仕事任せてみようかな」
と思われるためには、もう少しです。
ここまでできているのだから、あとは応用です。
英語を使った仕事をしたいのであれば最低700
このラインは
「上級の壁を破れなくて伸び悩んでいる」
というイメージです。
英語を使って何かしたい場合にアピールする資料として
「これから英語を頑張る土台はできています」
というメッセージにはなると思います。
従って、大学生の就職活動でこのあたりのスコアを持っていると強いです。
800点
800点台を取ったスコアシートはありませんが、のちに900超えるので、ここはあくまで印象です。
建前:めっちゃすげー!もうこれ持ってれば英語で仕事で来てるでしょ!うらやましい!
ここまでできる人は英語使えます。
- 相当な頑張りをしてきた
- 長期留学(半年~1年、語学学校、学部交換留学など)
こんなレベルです。
新卒はもちろん、転職の履歴書に書いても恥ずかしくありません。
ただ、まだ理解できていない部分があるので、正直信頼はできないです。
本音:簡単な仕事は任せられるけど、心配。細かいニュアンスわかってない。
一般的な日常会話、自分の普段している仕事、などは英語表現できます。
ただ初見で複雑な会話や仕事はできません。意味があるとすれば
- 一般企業で英語を普段使わないけどこれから使うかも
- だから転職組にはTOEICを課したい
- 昇任人事で条件つけたい
以上の条件でしょう。ここでもやはり「足切り」材料です。
また視点を変えると、800あれば
- 一般的な企業で今後英語を使うかもしれない
- 誰も英語しゃべれないからだれか英語できる人雇いたい
こういう企業や団体にとってはアピールできます。
900点
↑イギリス留学帰国後(2014年) 925点取った時のスコアです。
留学中にTOEIC対策をやったわけではありませんが、取れるもんですね。
正直嬉しかったです。この時の印象は…
建前:TOEICの神! 憧れです!
ここまでくれば素晴らしいです。
「英語力の土台はしっかりしていて応用も可能」です。
英語は専門的に使えます。
- 2学期(9か月)は大学学部の留学
- 大学院留学
このくらいの高レベルです。
いきなり専門的な仕事や話ができるでしょう。
価値はあります。
私は925を持っていることで、大学専任教員の応募ができました。(といっても任期付き[汗])
学生は英語教員のTOEICに興味を持ちます。
「先生、TOEIC何点ですか?」
ときかれることがしばしばあります。
その時「900」と言うと目の色が変わります。
信頼が違います。
英語の仕事ができます。
本音:頑張ったね。取る価値あるよ。本当に英語使えるかはわかんないけど。
ただ、このレベルでも実は使えるかどうかはわからないんです。
TOEICのレッスンをするのは実社会とのつながりを感じられて大好き。
「TOEICなんて退屈なものよく勉強する気になるよ」とかおっしゃる評論家様は、生まれてからホテルの予約もピザの注文もしたことがない王侯貴族に違いない。
— 菊池健彦 (@tsugarukikuchi) June 15, 2020
ここで紹介されている「評論家」もいるくらいです。だいたいこういう「評論家」は点数取れません。
リスニングとリーディング力は、ライティングやスピーキング力にも関わります。
900取っている人はある程度高レベルのスピーキング・ライティングもできる「はず」です。
しかし、書けない、話せない人がいるのです。
やはり900も足切り要件です。
もう一つ、
- 英語を教える
- 英語で専門的な仕事する
以上の人にとって、900点取得は義務です。
中学高校には教員免許があります。
TOEIC900は英語「運用」の免許証です。
何らかの英語を教えることを仕事としてお金をもらっているのであれば、900は一度取っておくべきです。
逆に言えば900取ったことない人は、専門的な英語を教えないほうが良いです。
じゃどーすればよいの
TOEIC 「受験」から距離を置く
初心者の方は、模試で600が取れるまで受けないでください。
中級者の方は、模試でそれぞれの必要なスコアが取れるまでは受けないほうが良いです。
TOEICの模試で「勉強」「練習」自体には価値があります。しかし、
TOEIC試験は問題持ち帰りできませんし、復習もまともにできません。
受験「自体」にお金をかけ続けるのは、やり過ぎです。
他にもやることいっぱいあるはずです。
「TOEIC疲れ」で英語学習嫌いにならないようにしてください。
多くても受験は1年に一回
TOEICを商売・ビジネスにしてる人は毎回受けます。
彼らのとってはその受験に価値があるからです。
「満点を~連続で取得!」
「今回は~に特徴があった!」
この情報が売れるからです。商売です。
ただ、一般の人はそんなに受ける必要ありません。
何回も言いますが、お金の無駄です。
それを承知で受ける場合は
こちらもご覧ください。
他の学習をやる
TOEICには
- 日常のやりとり
- 生活
- お店
- お金のやりとり
- ビジネス
- 職場でのやりとり
- お客さんとのやりとり
このようなことを勉強したい人には最適な内容です。
しかし英語はこれだけではありません。
たとえばビジネスの場で、教養が求められることがあります。
「どんな本が好きですか?」
「この映画の~~のシーン面白いよね」
などビジネス「のみ」を勉強して、会話ができない人がいます。
教養が追い付かないのです。
外国語を学習することは異文化理解をすることです。
スコアアップ「のみ」が目的になってしまうと本来の意味がありません。
TOEICを学習していることは既に異文化理解をしている行為で、素晴らしいです。
しかし、それをわざわざ自分で矮小化しないように気を付けてください。
- 文学作品を読む
- 洋画を鑑賞する
- 洋楽を歌う
TOEICにプラスして、色々な勉強をしておくと後々困りません。
たとえば受験料6490円を
- 1000円の洋画DVD6本買う
- 洋楽アルバム2~3枚買う
以上に回したとしたら、
- 映画を観て心が豊かになり
- 教養が付き
- 異文化理解につながる(本来の外国語学習の根本)
以上のような効果があります。
いざ海外に行ったとき、海外からゲストが来た時、
- 趣味
- 読んだ本
- 音楽
- 映画
- その他さまざまなこと
に話が及びます。本当です。
ランチとか行くと話が広がっていきます。
私はTOEICにはまった時もありました。
ただ、それは一時期で、大半は文学や映画が中心でした。
研究分野がイギリス文学なので、、、
TOEICは多くても1年に一回、できれば2年に1回で十分です。
私は10年でTOEIC925にいきました。
まとめ
- TOEICは価値があるが限定的
- 初心者に現場の速さ・量の感覚を叩きつけるには最適
- 合否がないから何回も受けたくなる
- お金をかけたくなる
- でも特に考えずそんなことしたらTOEICの思うつぼ
- 初心者
- 基本模試で600取れなかったら受けてはいけない
- ↓をご覧ください:
- 中級者
- 700-800が模試で取れてから
- 仕事で必要なひとのみ
- こちらをご覧ください:
- 上級者
- 900が模試で取れたら
- 英語を専門で教える人のみ
- 究極のマニアを目指す
以上のことを意識し、TOEICに利用されないようにしてください。
TOEICのスコアの意味を知って、TOEICと正しく付き合っていきましょう。
これができれば、TOEICをうまく活用できます。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
コメント
[…] 【受けるな危険】TOEICのカモになる前にチェックすべきスコア別注意点イギリス大学院留学・留学派遣業務・大学教員人事などに携わった経験からTOEICのスコアの本音を忖度なく暴露しま […]