現役大学英語教員が感じる「いびつな」日本の英語教育がよくわかる本
- ハワイに短期研修
- イギリス大学院留学
- 大学で留学派遣業務
- 海外研修の引率
- 大学の国際化
- 普段の英語授業
私は以上のことをやっているので、国際化とか日本人の英語力アップに大賛成です。
英語力アップを目指すことには
- 言語知識・センスの拡大
- 異文化理解のきっかけ
- 異世界への興味
以上の点で刺激にもなり、実際にビジネスチャンスにもつながります。
しかしながら、「いびつな」英語教育は反対です。
同様のことについては
【イギリス留学の現実】国際化・グローバル化の嘘
イギリス大学院留学は、一部の人たちは、お金で学位を買うビジネスと化しています。日本ではいまだに「国際化」「グローバル化」と言っていますが、注意しておかなないと、世界的な視点とずれすぎてしまう危険性があります。
こんなことも書いてます。
問題としたいのは、いわゆる「グローバル化」です。
これについて、良く説明してくれる本がありますので、紹介したいです。
特に英語教育に関わる
- 教員
- 職員
- 政治家
- 官僚
以上の人たちに読んでもらいたいです。
以下要点をまとめます。
第1章 日本を覆う「英語化」政策
「英語化」政策は「愚民」化政策
- 安倍政権と近い楽天三木谷浩史氏の「英語公用化」「英語特区」「日本が大きなシンガポールになること」への批判
日本の英語教育は企業の思い付きで「改革」されてしまってます。
加速する英語偏重の教育改革
- 2018年から始まる小学校5年生からの英語の正式教科化
- 「オール・イングリッシュ」の高校での導入、現場教員の困惑・批判を無視して拡大
日本は自ら日本語を捨てようとしてます。
ちなみにイギリスのウェールズは、英語によって一度失われたウェールズをを今一生懸命取り戻そうと、学校教育に入れています。(でも、簡単に教育だけでは戻りません)
「大学授業の五割を英語で」の衝撃
- 「グローバル人材の育成」の名の元2013年に提案され、2014年から始まった「スーパーグローバル大学育成プロジェクト」(秋田の国際教養大学、早稲田大学国際教養学部、法政大学グローバル教養学部)
つまり「日本語しかできない頭の良い人(大学)はいらない」ということです。
スーパーグローバル大学という虚妄(きょもう)
- タイプAだと年間最大5億円、たタイプBだと年間最大3億円
- 英語で授業やったら研究力あがるの?
- 日本語でやってた研究者はノーベル賞取ってきた
- 自然科学部門では日本はアメリカに次いで2位
- 植民地の影響で英語化されたアジアアフリカ諸国は優れているのか
実際に前の大学がこれに一生懸命申請してました。単に目の前のお金欲しいだけで、申請書書いてしまう大学です。日本は「基本」日本語でやったほうが効率が良いです。
財界が要請する「グローバル人材」の育成
- 「学術」より「ビジネス」を優先
- 社会の要請=財界の要請
- 1.少子高齢化、日本市場の縮小、海外の需要をとりにいかねば
- 2.人材や金を外から取らねば。ビジネスを英語で
- 今までは会社入ってから研修
- 今は経費削減で大学卒業までに
- ↑が「実用化」やTOEFL導入につながる
大学教育現場で盛んに強調される「社会の要望」がやっとわかりました。「社会」は「ビジネス」つまり海外の投資家から金が欲しい「企業」です。
行政の場でも進む英語化
- 法令の英語化
- TPP加入で広がる英語
- 国家公務員総合職試験でのTOEFL活用←地方自治体へ
- 英語ができなければ公務員に慣れない時代へ
え? 英語でいらぬ手間かけるより、日本語でもっと良いサービス構築すれば?となりますね。効率が悪いです。
高まる英語化への懸念
- 日本語力は?
- グローバル人材=英語力?
- 日本語や日本人らしさ(文化)は?
日本語が根本にあるので、英語強化しても単に薄っぺらで上っ面の英語力があがるだけです。その分、日本語力が知らず知らず下がります。
「グローバル化」「ボーダーレス化」というマジック・ワード
- ↑を作文に使うと採用されやすい(「グローバル人材の育成」「ボーダーレス化」も)
- ↑各省庁が予算・政策を取りやすい
結局、教育理念でさえも「財界」にコントロールされてしまう日本です。たぶんもう、取り返しがつかないです。
まとめ:英語「教育」が「ビジネス「企業」に利用されても気づかない日本教育界」
このように、序盤から英語教育界とビジネスが密接にかかわってきている様子がわかります。
私自身、学生時代を振り返ってみると
「国際化」
「グローバル化」
このような言葉は現代的で、何か良いものなんだなぁ、という印象を持っていました。
これは全てビジネス界の思惑通りなんですね。
財界が教育界に手を伸ばしてきた。
特に英語はお金になる、そんな感じです。
引き続きこの本はじっくり見て、考察を加えていきます。
コメント