『愛と誠・完結篇』(1976年公開、監督:南部英夫)
愛と誠・完結篇
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実写化映画3部作の最終。
『続・愛と誠』におけるスポ根とスケ番の敗北
『続・愛と誠』(監督:山根成之、1975年、3.15)
ここで第一作の雑感を書きましたが、第二作目の気づいた点を記録です。
引き続き演技の時代を感じますが、色々と学べます。
前回は、主人公誠...
こちらで2作目の雑感も書きましたが、
1作目:一般人 vs 不良
2作目:不良(スケ番) vs 不良
3作目:マフィア vs 不良
とうまく段階を踏んでいます。
監督も変わり少しずつ演技も見慣れてきました。
主人公誠の当時の男のカッコよさを描くための
- 愚直さ
- 粗野さ
- それでいて誠実
この描き方に時代性を感じるのと同時に1970年代のしたたかさを感じます。
原作者、梶原一騎が出演しているのも面白いです。
屈折する親子愛
今回の大きなテーマは、愛と誠のすれ違う愛のみならず、親子愛、です。
- 親が持つ権力
- 権力を超える権力
- 男性中心主義の中の妻の役割
など令和の現代と繋がるものもあれば、異なっているものもあります。
様々な見方ができる作品でした。
1970年代と切腹
俊の父、座王 与平は、国会で嘘をつきたくない、国民にお詫びのため、割腹自殺します。
- 小林正樹監督の『切腹』(昭和37[1962]年 9月16日公開、原作:滝口康彦『異聞浪人記』[1958年])
切腹 | 松竹映画100年の100選
男の切腹志願の理由が分かるミステリー要素の強い前半から、後半はその伏線が一気に回収され、 別のジャンルの映画に変わっていく。張り詰めた緊迫感とスリルはエンタメ映画の最高峰。 制度に怒りを抱えた男の行動は現代的でもある
- 三島由紀夫の割腹自殺が昭和45(1970)年
など考えると、まだ日本社会に腹を切って死ぬことでメッセージを伝える、という行為が過去のことではなかったのがうかがえます。
侍の死にざまとして美化されることもある切腹。
しかしながら、映画『切腹』でも描かれているように、体面や過剰な名誉を求める武士道への批判、とも読み取れます。
傷を持ち、親に飢えた不良
子供の頃、父に目を傷つけられ家を飛び出した峻。
と額にあざがあり、身寄りのない誠。
この二人がそれぞれ父、母の存在を心の中で追い求めていく様子をよく描かれています。
結局親から愛の欠如が暴力に発展するという梶原の意図も想像できます。
この世で結ばれない男女
愛をテーマにしつつも、愛と誠の純愛に関して生きて成就させない。
そんなところに、近松門左衛門の心中ものから続く、日本的愛の結び方の美学を感じます。
この物語が大ヒットして3部作まで作られ、
『純愛山河 愛と誠』として1974年から全26話テレビドラマシリーズを作られ、
2012年に
6.16公開 映画『愛と誠』 「あの素晴しい愛をもう一度」フルコーラスver.
リメイク映画も作られてる本作のテーマは、日本の純愛物語を語るうえで外せないのでしょう。
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