現役大学教員が教える大学生活を無駄にしないための方法

大学では研究をする

この記事の結論は

  • 政府や偉い人は「社会で通用する」とか強調しますが
  • 実際社会(一般企業)はそんなに甘くないので
  • 大学で充実したゼミ活動ができるよう
  • 入学前からゼミ担当している教員の研究を調べて
  • 実際にコンタクトできたら大学が面白くなる

以上です。これについて深堀していきます。

小金持ちっぽいインフルエンサーに心揺れる人々にこそ大学を考えてもらいたい

最近「大学入らない!」みたいな人、いますね。

インフルエンサー的な人が多い印象です。

たとえば↓なような動画を見て心が揺れている人

 

もはや「大学」なんて行かなくていい
このチャンネルは10代の子も結構見てくれているんで「大学にいくべきか?」という話をします!■マコなり社長おすすめ本◎マインドセット編自分の中に毒を持て 反応しない練習 嫌われる勇気

 

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や、

  • 小学生・中学生(の親)
    • 早く自分(のこども)の進路を考えておきたい

 

  •  高校生
    • 部活ばっかりやってて進路考えてない
    • 家族・先生に「とりあえず大学行っとけ」と言われてる
    • 目的・目標がない

 

  • 大学生
    • 行ってる意味がわからなくなってきた
    • コロナの影響で大学が休講中で施設利用費返してもらいたい
    • 友人との関係で悩んでいる
    • こんなことを検討中
      • 休学
      • 留学
      • 退学

 

  • 社会人
    • 高卒で頑張ってきた
    • 転職を考えてる
    • キャリアアップを考えてる

 

  • 政治家・官僚
    • 選挙だけでなく「本当に」教育のことを考えている

 

以上の人がこの記事を読むと、本当に行くのをやめるべきか、やっぱり行くべきか検討しやすくなります。

建前(理想)

目的:大学は研究するところ

おそらくこれが一番、勘違いされているところです。

大学「教員」は、研究者です。

小学校・中学校・高校のように教員免許があって教育を専門としているわけではありません。

教員免許がなくても大学の教員になることはできます。(その代わり研究発表・論文など、研究業績が大切なのですが・・・)

彼らは専門領域があり、日々

 

  • 文献調査
  • フィールドワーク
  • 学会発表
  • 論文投稿
  • 学会運営(ボランティア)

 

こんな活動をしているのです。学外の業務は無給です。(研究費はありますが)

 

  • 大学教員はなぜ授業が少ないのか(といっても最近は多くなってきています)
  • 空コマに何をしているのか
  • なぜ仕事場が「研究室」なのか

 

そんな疑問を持っている人は少し理解できるかもしれません。

 

成果:学位(~学士)を取る

こんな大学教員(研究者)の指導を受け、所定の単位を取って、卒業論文が通れば、卒業し

 

「学士」

 

がもらえます。

入学した大学の学部学科の名前に関連する専門家のたまご、という感じです。

ちなみに大学院を修了すると

 

「修士」

「博士」

 

という学位です。

得られるスキル:学術論文を書く・発表をする

学位取得のためには論文が必要です。その論文を書くためには

 

  • 論理的な思考・展開
  • 文章作成能力
  • プレゼンテーション力
  • 引用の作法・マナー
  • ある程度のITスキル
  • など

 

が必要です。

研究者はこれらのプロ(のはず[汗])です。

従って、4年間で基礎から応用をびっしりと学ぶこと(そのはず[汗×2])になっています。

ポイントは「学術的」なので、ビジネスや商用とは少し離れています。

本音(現実)

目的:就職のため

私のことを指導してくれた大学教員は

 

  • 昔は勉強したい学生だけが大学に来ていた
  • 今は勉強したくない学生も来る

 

こんなことをよく言っていました。

つまり昔は講義をするだけで学生は勉強していた時代がありました(ようです)。

もちろん今でも優秀な学生はいます。

 

教員(研究者)が専門的な話を一方的に話、学生はそれを知識としてインプットする。

一番効率の良い知識の吸収方法です。

90分で多くの知識が頭に入ります。

 

今はそんなことを言っていられない時代です。

大学も教育に力を入れ(いるように振舞わ)なければ、文科省からの助成金がストップしてしまいます。

2021年度から、高校卒業生数が激減し、大学入学者数にも影響するといわれています。

詳しくは

 

コロナショック|大学運営方法について再考する機会かもしれない
大学教員をやめて農業をはじめました。時事問題を中心に、教育問題や統計学も取り上げています。

 

こちらの記事を見るとよくわかります。

少子化で、潰れてしまうのです。

 

少し前には↓が話題になりました。図書館で検索してみてください。

 

↑アマゾンか楽天だと、送料合わせて500円前後で出回っているようです。(2020年5月11日)ヤフーショッピングは1500円くらいしてます。

成果:給料アップ

学生も、研究力を上げる、というより、実際は就職・初任給・出世などの方が直接的に興味があります。いわゆる

 

  • 中卒
  • 高卒
  • 専門・短大卒
  • 大卒
  • 院卒

 

このような段階の初任給設定がされています。

たとえば一般企業の総合職(最初はほぼ営業)。

初任給は大卒かそうでないかで、大体1万円くらい変わってきます。

なので、できれば大卒で社会人になっておくほうがスタートが良いです。

その考えで、周りの大人(高校教員・親など)は

「(できれば)大学に行け」

と言います。

得られるスキル:人による

部活を頑張る人

  • 競技力

友達作りを頑張る人

  • 友達(知り合い)の数

その他のことを頑張る人

  • 副業・起業の知識

学術以外で実際に身につくスキル(?)というとこんな感じでしょう。

問題点

「高校の延長」と思っているとなじめない

そんな状況で大学は、受験者・入学手続き者確保のため、

 

  • 全力でオープンキャンパス
  • 魅力的なホームページ・大学案内
  • 高校訪問・模擬授業

 

様々なPR・営業活動を行います。実際に入学すると

 

  • 入学式の華やかな感じ
  • 先輩・教職員が力いっぱいやるオリエンテーション
  • 夢のキャンパスライフ

 

こんな感じで最初は盛り上がると思います。ただ、5月くらいになると

 

  • 新しい環境
  • 新しい人間関係
  • 勉強の難しさ(簡単さ)

 

に色々と難しさを感じ始める時期になります。

部活やサークルに入っていないと、孤独を感じ始めるかもしれません。

自分のクラスの教室に先生がやってきて授業をするわけではありません。

「クラス」がありません。(週一の基礎ゼミなど、科目ごとのクラス分けはあります。)

そうすると、クラスの関わりが高校よりも薄くなることは明らかです。

実践力:社会を意識しすぎた文科省

少子化を迎え、大学は受験生確保に動きます。

そうすると一つのアピールポイントは、就職率アップとなります。

また文科省も大学に実践力なるものを求めてくるようになりました。たとえば

 

  • 実務教員を採用する(しなければいけない)ようになってきた
  • その教員を研究業績でなく実務で評価

 

こんなことが行われ始めています。

 

こちらで書いたように、財務省のコストカットが原因です。

短期的に効果が出そうな(長期的に薄っぺら…)表面上のスキルを磨こうとしているのです。

自己責任競争社会を作り上げた財務省の出世システムの時代遅れ感
日本の政治は国民の為でなく財務省のために行われています。この記事でその概要がわかります。そうなると、なぜ日本がこのような競争社会になってきて、「自己投資!」「資格!」「最低でも大卒!」「英語しゃべれるように!」という人が増えたかが知れます。

もう少し根本的に小学校ではこんなことが1:15~英語を見るとわかりやすいです:

 

https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg18688.html

 

学校が、英会話学校のような感じになっています。

簡単に言うと大学の英語も、英会話学校を目指すようになってきています。

となると大学の意味はどうなるのでしょうか。

「研究するところ」の意味は?

専門学校との違いは?

 

専門学校で教えたこともありますが、専門学校は専門学校の役割があります。

かなり実務的でそれこそ働いたらすぐに使える知識を短期間(かなりぎゅう詰め)で学びます。

大学が役割の異なることをしていて良いのでしょうか。

 

  • 「実践力」を意識し「過ぎる」大学
  • 「すぐ使える」ばかり求める教員

 

こういう大学は本来の意味をなしていないです。

文科省対策のため、表向きは「実践」としつつも、学生には、

 

  • 学問の奥深さ・難しさ
  • そして面白さ
  • 知的好奇心
  • (数年後でなく)10~20年後に思い返した時に記憶に残る何とも言えない「学びたい」感

 

学術・学問への追及で得られる↑のような感覚が得られるような大学・教員を選ぶべきです。

解決策:具体的にどうすればいいの

入学前(検討段階)

オープンキャンパス(あるいはその事前にやっておくこと)

まずは教員情報を大学ホームぺージでチェックしてください。

そこで面白い研究をしている教員がいればメールでコンタクトを取ってみてください。

メールマナーは必須ですのでこちらをご覧ください:

 

【メール作法・ビジネスマナー】損をしないために知っておくべき5つの項目
携帯メール・SMS・LINEなどの影響で、気軽に意思疎通できますが、まだメールはビジネス・留学などで必須で作法やマナーがわからないとチャンスを失います。新大学生・ゼミ選択・新社会人・転職活動などですぐに使える作法を現役大学教員が事例をもとに説明します。01:35 よくある事例と解決策 11:02 たまにある絶対に...

 

そのメールの対応や内容が良ければ、その大学・教員・ゼミに学ぶ候補としても良いでしょう。(会って話を聞ければかなり良い教員です。)

大学名や施設よりも、どの教員のもとで学ぶか、の方が大切です。

良い大学に入っても、教員がほったらかしすぎ、とかよく聞きます。

入学後(もう入学しちゃってる)

ゼミを真剣に考える

まだチャンスはあります。2年生の前半であればまだ挽回できます。

今からでもできることを以下に挙げます:

悪い成績を取らないようにしておく

授業中に携帯・スマホいじってないですか?

態度悪くないですか?

 

↑こういうこと、意識して辞めたほうが良いです。

大学教員も人間です。

こういう学生はすぐに目につきます。

 

ゼミ入室審査が2年の後半にあります。

そこで人気のゼミになった場合、成績でおとされます。

授業中にスマホいじる学生なんか取りたくありません。

態度悪い学生なんか取りたくありません。

 

因果応報、1,2年で目の前のスマホやめんどくささに負けた学生は、結果、人気のないゼミに勝手に配属されます・・・。

授業でどの教員のゼミが面白そうかを注視しておく

だいたいどの先生が良いかは授業を受けてわかるでしょう。

逆にこの先生は嫌、なども判断できます。

「面白い」は、学べるかどうかの興味深さで

ただ「合宿が楽しそう」「おごってくれる」とかでは何の学びにもなりません。

知的好奇心をくすぐられるかどうかがポイントです。

メールなどで丁寧にアポを取り面談しておく

教員は自分の研究やゼミに興味を持ってくれると素直に嬉しいです。

そこにダブルパンチでメールマナーや礼儀ができる学生が来てくれたら、プラス印象しかありません。

実際にその教員の論文を読んでおく

かなりの好印象です。ここまでしてくれたら、ゼミ生としてはほぼ合格です。

その時点で条件なしでとりたいです。

公平を期すために一応は「今決められない」とは言いますが。

 

正直、有名大学でもゼミがほったらかしとか、何も学べない、などよくききます。

逆に、無名でも、ゼミでしっかりと指導されれば、卒業以降でも差が付きます。

ゼミは、大学の醍醐味です。これで大学の後半のほぼ全てが決まるでしょう。

図書館をフル活用する

ゼミも決まっていて、希望もない。

などの場合でも遅くありません。

大学のコストパフォーマンスを上げるには、これがポイントです。

 

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こちらで解説しているので、見てみてください。

まとめ:大学に意味を見出そうとできるかどうか

実際問題、今の大学生は忙しいです。

大学に通いながらバイトをして生活費を稼ぐ。

さらに部活して、…。

生活でいっぱいいっぱいでしょう。

 

やはり、その日・週・月・年など、目の前のお金や利益が最優先です。

しかし、大学の4年をうまく「活用」する人は、ぐんぐん伸びます。

そして、良いところに就職していきます。

 

実際に私のゼミ生で、私の学術スキルを学び、それを「自分で」活かして、希望する業界に就職した学生が複数います。

思い切って大学に行かない(辞める)のも選択肢の一つですし、行くのも選択です。

大学に行くことはお金がかかることなので、人任せでなく、必ず責任を持って「自分で」決めたほうが後悔しません。

より良い選択をして下さい。

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