アシュトーシュ・ゴーワリケール監督『ラガーン』(原題:Lagaan: Once Upon a Time in India)アーミル・カーン・プロダクション(2001年、インド)
良い映画でした。
ゼミでクリケットのことをやるので、数少ないクリケット映画に関して学習のため見ておこうと。
上映時間224分(3時間44分…)の超大作で、見ていて中だるみするかと思いきや、最後まで見切りました。
後半は涙も出てきました。
こんな映画を考察です。
ネタバレもありです。
イギリス軍への年貢はクリケット買ったら免除
この映画の設定はイギリス植民地時代の1893年のインド。
農村の年貢(Lagaan)を2倍にすることを免除してほしいと陳情に行ったら、イギリス軍将校が
「いいよ。でもクリケットの試合に勝ったらね」
と条件出します。
当然、イギリスはクリケットをずっと行っているので、有利。
反対する農民もいる中、主人公ブバンはこの条件をのむ。
ここから面白くなってきます。
仲間づくりとクリケット
最初は全然乗り気でない農民も、ブバンの熱意に次第に心を開き、練習に参加します。
スポーツの練習をしたことがない農民は
遊びや職業からヒントを得て、それぞれの役目にあった役目を割り振ります。
身分を超えた団結
「イギリスに勝つために」
と団結していく農民ですが、さらなる分断がありました。
それが身分です。
カースト制度の元、また障害もあり、
「そんなやつとイギリスと戦うなら抜ける」
とする仲間まで出てくる中、右手に障害を持つカチュラの存在は大きいです。
カチュラには、右手が通常とは異なることによりクリケット投手としての変則的な投球ができる才能があります。
ブバンはこれを見出し、反対する仲間を説得し、仲間に入れます。
分断と団結
現在の日本でもそうですが、本来、給料も上がらないのに物価だけがあがる中、国民負担を上げようとする政府に抗議せねばなりません。
ところが、現在日本では、国民同士で
「高齢者は集団自決を」
「若者は選挙行くな(そのほうが都合よいから)」
と分断が始まってます。
これはカチュラに対するまなざしと同じです。
ここで分断していては本来倒すべき相手、イギリス(日本では財務省に支配された政府)は倒せません。
クリケット
数日かかる試合の様子も良くわかります。
効率、合理化、利益。これらがまかり通る現代社会で、時間がかかるスポーツなんて人気がないかもしれません。
ただ、3時間以上もかける時間の中で、時間のかかる様子が良くわかります。
そして映画やドラマとなると陳腐になってしまうスポーツ描写も、ここでは良く描けています。
クライマックスは感動です。
人種を超えた恋とその行方
イギリス人将校(アンドリュー・ラッセル大尉)の妹エリザベスの献身的な協力とその秘めた恋の描写も良いです。
白人社会でインド人への協力は兄によって反対されます。
それによってより思いを強くしますが、
「I love you」をあえて現地語で言わないシーンは、愛をこれでもかと強調するラブロマンスにあふれた映画の中でも秀逸です。
また、ブバンへの愛のため、イギリス帰国後も生涯結婚せずその愛を通し続ける、という設定も、興味深いです。
まとめ
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