痛みを伴う改革:『レクサスとオリーブの木』のグローバル思考

「国には無駄が多い!」
「民営化して効率化!」
「手厚い社会保障は続けられない!」
「支出カットしてスリム化!」
こういうこと言う政治家見覚えありませんか?
この思考がどこから来たかの一つのヒントが
トーマス・フリードマン『レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体』(Thomas L. Friedman,

The Lexus and the Olive Tree: Understanding Globalization, Farrar, Straus and Giroux, 1999)

この本に詰まってます。
日本に絡んだところを少し引用してみましょう:
「90年代にマクロ経済がつまづいたからといって、日本が敗者になったわけではない―ただ、適応が必要なだけなのだ。
消費税増税を続けて経済成長がピタッと止まるのが90年代です。
その処方箋に「適用」を持ってきます。
弱肉強食を人間世界にも認める社会進化論的ですね。
次はアメリカの自由経済を至高とした前提で、主張が続きます。
日本と西欧が、柔軟性のない保護主義的な福祉システム[…]に固執するかぎり、彼らはアメリカの敵ではない。だが、アメリカがこのグローバル化時代を大きく先行すればするほど、日本や西欧は、まずますアメリカを見習い、模倣していくだろう。
日本と西欧を同一化している点でなかなか興味深いですが、「模倣」というか「追従」と言いますか、「隷属」とも言いますか…。
そこで以下のように出てきます。
この避けることのできない適応は、とほうもない痛みを伴うが、日本や西欧が現在の生活水準を維持するためには、どうしても通らなくてはならない道なのだ。」
『レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体(下)』草思社、2000年、 p. 160-161
「痛みを伴う」「適応」
でましたー。
増税、社会保障費アップ、規制緩和(低賃金化、非正規化)に使われる論理です。
これ言ってる政治家、言論人いますね。
典型的な2000年代グローバリストの思想。緊縮的。
いや、皆が超ウハウハで超好景気で、暇で暇でしょうがなくても物が売れまくってしょうがない、という経済状況であれば必要かもしれません。
でもそれ今必要ですか?

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